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別荘地としても人気の高い葉山の丘陵地に建つプライベートサロンを併設した住宅の設計である。
クライアントからは、プライバシーを確保するために「閉じること」と庭にむけて「開くこと」の双方が求められた。
敷地の北側は住宅の背後に山の緑が望める住宅地、南側は棚田状に宅地がせり上がっていく崖があり、崖の麓という立地だった。南側は町の崖条例に該当する崖で、コスト的にも木造にする前提がある事から、崖から一定の距離を離す必要があった。必然的に北の道路側に寄る配置となり、結果的に夫婦が望んでいた庭を南側に作り出す形となった。
プライベートサロンの棟、1階に水廻り2階に個室を配置する棟、吹き抜けを有するリビング棟、ロフトと書斎のある寝室棟、と決して大きい訳ではないが、適切な気積をそれぞれの空間に割り当て、4つの奥行きと高さの異なるヴォリュームを配置した。
それぞれのボリュームは1.5〜2層分で、通常より階高の高いつくりになっている。クライアントの要望である「閉じること」を実現しつつも、遠くに見える山の景色は取り込めるよう、高さのあるボリュームを利用して、美しい山並みと空のみを切り取るよう計算した高さに開口部を設けて、視界の広がりを生み出している。
一方、南側は崖上部からの視線に対しては「閉じること」、庭に対しては「開くこと」が必要となる。そこで、開口部は周辺に向けて低く構えてパーゴラにより視線を遮るとともに、日射を考慮し上部には光を室内に取り入れる窓を設けた。
適切な場所で「閉じること」と「開くこと」を選択することで、敷地全体を使って家族が外も内も楽しむ豊かな暮らしを実現している。