ご主人さまが育ったご実家の一部を引き継ぎ、お母さまと同居を機にリノベーションをされたSさま。ご主人さまが10代だった30年前に、お父さまが建てたRC造5階建ての家。しばらく空き家になっていた4・5階部分をファミリー仕様にするため、4階を広々としたLDKに作り変え、キッチンと一体型のダイニングテーブルを造作。キッチンを囲み、ぐるっと回遊できるWIC兼ランドリースペースを共存させた大容量パントリーを設けるプランを提案しました。家族が揃って過ごすLDKは、板貼りの下がり天井やキッチンと一体型のダイニングテーブルとのバランスが綺麗に見えるよう、納め方について何度もイメージ共有して検討。ベージュ色のモールテックスで仕上げたキッチンと、奥さま好みで選んだ淡いピンクのタイル、優しい木目の色味でペールトーンにまとまったLDKは、既存建具にも馴染む心地良い空間になりました。
世代を超えた持続可能な住まい
状態の良い風呂・トイレは既存をそのまま利用し、主寝室と廊下は、床と収納扉の表層部分のみを変更しました。洗面室は既存のミラーを活かし、モールテックス仕上の洗面台を造作。5階はかつてご主人さまが兄弟で青春時代を過ごした洋室2部屋を、間取りと建具、既存の造作本棚を活かし、姉妹がそれぞれ好みの壁紙を選んで収納扉を変更。女の子らしい部屋に生まれ変わりました。親から子へ引き継がれた子ども部屋で、のびのび自由な時間を過ごす姿がとても印象的です
近年では多くの家が、子どもに受け継がれることなく、世代ごとに消費されている現状。先祖が建てた家をその世代で終わらせるのではなく、次の世代が暮らしやすいように話し合い、考えて、作り変えて住み継ぐ。良いものはそのまま使い、変えたいところは水彩絵の具のように新しい色を重ねる。魅力を塗り足し、使い勝手も家族の心も持続可能な住まいに。